実家じまい
実家じまいは何から?手順・費用・期限と、店舗付き・借地・共有持分の実家のしまい方
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実家じまいは、片付けから始めると失敗します。先に家族で「誰が何を引き継ぐか」と「家をどうするか」を決めないと、捨ててはいけない物を捨てたり、売れない名義のまま業者を呼んだりすることになるからです。このページでは、やる順番と期限、誰に頼むかを整理します。親が店をやっていた家、借地に建つ家、きょうだいで共有している家の注意点もまとめました。
ONE STEP AT A TIME
いま知りたいことから。
先に結論
- 順番は「①家族で決める → ②相続登記 → ③遺品・仏壇 → ④家の行き先を決める → ⑤税金の手続き」。片付けは②のあとです。
- 相続登記は、相続を知った日から3年以内が義務です(2024年4月1日より前の相続は2027年3月31日まで)。空き家の3,000万円控除は、2027年12月31日までの売却が対象です。
- 店舗付きの家は、相続後に店として使うと3,000万円控除の対象外になります。借地の家は地主の承諾、共有の家は共有者全員の同意が、売る前に要ります。
実家じまいは何から?最初にやる3つ
最初の1週間でやることは、次の3つだけです。業者への見積もり依頼は、この3つが済んでからで間に合います。
- 家の名義と権利を確かめる:法務局で登記事項証明書を取り、名義人・土地が借地かどうか・共有者がいるかを確認する。固定資産税の納税通知書でも所在地と評価額がわかる
- 家族に集まってもらう:仏壇やお墓を継ぐ人、家の方針、費用の分担を話す日を決める(次の章)
- 捨ててはいけない物を先に分ける:権利証・通帳・保険証券・契約書・実印・貴金属・骨董・写真。片付け業者を入れる前に、家族の手で分けておく
| 順番 | やること | 主な相談先 |
|---|---|---|
| ① | 家族で方針と費用の分担を決める | 家族(揉めたら弁護士) |
| ② | 相続登記(名義を相続人に移す) | 司法書士・法務局 |
| ③ | 遺品・家財の片付け、仏壇の扱い | 家族・遺品整理業者・菩提寺 |
| ④ | 家の行き先を決める(売る・貸す・解体・手放す) | 不動産会社・解体業者・法務局 |
| ⑤ | 税金の手続き(特例の確定申告など) | 税理士・税務署 |
家族で決めること(仏壇やお墓を継ぐ人を含む)
揉める実家じまいの多くは、話し合いの前に誰かが動き出したケースです。次の4つは、最初の話し合いで決めておきます。
- 仏壇・お墓を継ぐ人:民法897条は、系譜・祭具・墳墓(家系図・仏壇・お墓など)は、慣習に従って祭祀を主宰する人が引き継ぐと定めています。ほかの遺産とは分けて考えます
- 家の方針:売る・貸す・誰かが住む・解体する・国に引き取ってもらう、のどれを目指すか
- 費用の分担:片付け・解体・登記・税理士の費用を、誰がどの割合で持つか。売却代金から精算するのかも決める
- 窓口になる人:業者や役所とのやり取りを一人に決める。連絡が分散すると、見積もりの比較もできません
注意
相続放棄を考えている人は、家の物を処分したり売ったりする前に専門家に相談してください。民法は、相続人が相続財産を処分したときは相続を認めたものとみなすと定めています(921条)。相続放棄の期限は、原則として相続を知った時から3か月以内です(915条)。
期限カレンダー
実家じまいには、過ぎると損をする期限がいくつかあります。「相続の開始(親が亡くなった日)」を起点に並べました。
| 期限 | 何の期限か | 過ぎるとどうなるか |
|---|---|---|
| 相続を知った時から3か月 | 相続放棄・限定承認 | 原則として単純承認(借金も含めて相続)になる |
| 相続開始を知った日の翌日から10か月 | 相続税の申告・納付(課税される人のみ) | 延滞税・加算税の対象になる |
| 取得を知った日から3年 | 相続登記(2024年4月1日より前の相続は2027年3月31日まで) | 正当な理由がなければ10万円以下の過料の対象 |
| 相続開始から3年を経過する年の12月31日 | 空き家の3,000万円控除を使うための売却期限(制度自体は2027年12月31日の売却まで) | 特例が使えない |
| 期限なし(放置の結果) | 管理不全空家・特定空家としての勧告 | 勧告を受けると固定資産税の住宅用地特例がなくなる |
固定資産税の住宅用地特例は、住宅が建つ土地の課税標準を、200㎡以下の部分は6分の1、それを超える部分は3分の1にする仕組みです。空き家を放置して市区町村から勧告を受けると、この特例が外れます(2023年12月13日施行の改正空家法)。「空き家のままでも税金は安いから」と放置できる期間は、以前より短くなっています。
遺品・家財の片付けと、誰に頼むか
片付けは、家族でやる部分と業者に頼む部分を分けると、費用も後悔も減ります。
| 物 | 誰がやるか | ポイント |
|---|---|---|
| 書類・通帳・貴重品・写真 | 家族 | 業者を入れる前に必ず家族の手で分ける |
| 骨董・掛軸・着物・美術品 | 買取業者の査定 | 処分の前に査定を取る。価値のある物は相続財産にもなる |
| 家具・家電・大量の生活用品 | 遺品整理業者・不用品回収 | 2〜3社に現地を見てもらい、処分費・搬出費・追加料金の条件を比べる |
| すぐ決められない物 | トランクルーム等で一時保管 | 家の売却や解体を急ぐときに、判断を先送りする場所 |
親が店をやっていた家では、厨房機器・什器・在庫・業務用のごみが残ります。これは家庭ごみと扱いが違います。店の片付けの手順は閉店の片付けと什器処分にまとめています。
費用は、家の広さ・物の量・階段や道路の条件で大きく変わります。公的な相場はないため、このページでは金額を書きません。見積もりは内訳(人数・車両台数・処分費・リサイクル料・追加料金の条件)を揃えて比べてください。
仏壇・神棚・お墓
仏壇の処分方法を定めた法律は見当たりません。決まっているのは「誰が引き継ぐか」で、民法897条により、慣習に従って祭祀を主宰する人が引き継ぎます。仏壇・仏具・お墓には、原則として相続税がかかりません(骨董的な価値があるなど、投資の対象になる物は除く)。
- 引き継ぐ人がいる:小型の仏壇に買い替えて、引き継ぐ人の家に移す方法もある
- 処分する:菩提寺があれば、閉眼供養(魂抜き)を相談してから処分する。宗派や寺によって考え方が違うので、先に聞く
- お墓もたたむ:お墓は墓地埋葬法の手続き(改葬許可)が要ります。順番と費用は墓じまいの費用と流れで整理しています
家は売る・貸す・解体・残すのどれにするか
家の行き先は5つです。まず売った場合の価格を知ると、ほかの選択肢と比べられるようになります。
| 選択肢 | 向いている家 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 仲介で売る | 立地が良く、時間をかけてもよい | 買い手が見つかるまで固定資産税と管理が続く |
| 業者に買い取ってもらう | 古い・遠方・早く手放したい | 仲介より価格は下がりやすいが、早く確実に手放せる |
| 貸す・土地を活用する | 需要のある場所で、管理できる人がいる | 相続後に貸すと3,000万円控除の対象外になる |
| 解体して更地で売る | 建物が古く、土地に需要がある | 更地にすると住宅用地特例が外れる。解体の時期と売却の時期を合わせる |
| 国に引き取ってもらう | 売れない・貸せない土地 | 建物があると申請できない。費用がかかる(後述) |
店として使っていた建物の扱いや、閉店後の固定資産税の考え方は閉店後の店舗の土地と建物で詳しく説明しています。
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店舗付き・借地・共有持分・事故物件の実家
ふつうの戸建てと違い、次の4つは「売る前に片づけておく問題」があります。放置すると、買い手も業者も手を出しにくくなります。
| 実家の状態 | 売る前の壁 | 根拠 |
|---|---|---|
| 店舗付き(親が店をやっていた) | 相続後に店として使ったり貸したりすると、空き家の3,000万円控除の対象外になる。店の設備・在庫の片付けも別に要る | 国税庁 No.3306 |
| 借地に建つ家 | 建物を売ると借地権も一緒に移るため、地主の承諾が要る。承諾が得られないときは、裁判所に承諾に代わる許可を求める手続きがある | 民法612条・借地借家法19条 |
| きょうだいで共有 | 家全体を売るには共有者全員の同意が要る。自分の持分だけなら単独で売れるが、買い手は限られ、価格は下がりやすい | 民法251条 |
| 家の中で親が亡くなっていた | 老衰などの自然死や、日常生活の中での不慮の死(転倒・誤嚥など)は、原則として告知しなくてよい。それ以外の死は、売買では期間の区切りがなく、告知を前提に考える | 国交省ガイドライン(2021年) |
店舗と住まいを兼ねた家が3,000万円控除の対象になるかは、使い方によって判断が分かれます。売る前に税務署か税理士に確認してください。
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売れない土地は国に引き取ってもらえるか
2023年4月27日に始まった相続土地国庫帰属制度で、相続した土地を国に引き取ってもらえる場合があります。ただし、条件と費用があります。
- 建物がある土地は申請できない:家を解体して更地にしてからの申請になる
- 審査手数料:土地1筆あたり14,000円。審査の結果にかかわらず返ってこない
- 負担金:承認されたら納める。基本は20万円(市街化区域などの宅地・農地、森林は面積に応じて算定)
- 申請先:土地がある地域の法務局(本局)。事前相談ができる
解体費と負担金を足すと、まとまった出費になります。先に買取業者の査定を取り、「売れる値段」と比べてから選んでください。
税金:3,000万円控除を使える条件
親が一人で住んでいた家を相続して売ると、一定の条件で譲渡所得から最高3,000万円を控除できます(相続人が3人以上なら最高2,000万円)。主な条件は次のとおりです。
- 1981年5月31日以前に建てられた家であること。マンションなど区分所有の建物は対象外
- 相続の直前に、親以外に住んでいた人がいないこと
- 相続してから売るまで、事業・貸付・居住に使っていないこと
- 売却代金が1億円以下であること
- 相続開始から3年を経過する年の12月31日までに売ること(制度は2027年12月31日までの売却が対象)
- 家を売るなら耐震基準を満たしていること、または取り壊して土地を売ること。2024年1月1日以後の売却は、売った翌年の2月15日までに耐震改修や取壊しをした場合も対象
- 確定申告をすること
条件は細かく、使えるかどうかで手取りが大きく変わります。売却の前に、税務署か税理士に確認してください。
親の店を閉める段取りは、1分で工程表に
6つの質問に答えるだけで、閉店日から逆算した「やること」と期限が一覧になります。無料・登録不要・入力内容は送信されません。
無料で工程表をつくる 挨拶文例・契約棚卸しシートつきの「店じまい完全キット」を無料で受け取る →よくある質問
実家じまいは何から始めればいいですか?
最初に家族で「誰が仏壇やお墓を引き継ぐか」「家を売るか残すか」「費用を誰がどう持つか」を決めます。そのうえで、名義が亡くなった親のままなら相続登記を進めます。相続登記は相続を知った日から3年以内が義務で、2024年4月1日より前の相続は2027年3月31日が期限です。片付けや業者選びはその後です。
実家を相続したら、必ず相続登記をしなければいけませんか?
はい。2024年4月1日から相続登記は義務になりました。不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に申請し、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象です。遺産分割がまとまらないときは、相続人申告登記という簡単な手続きで義務を果たすこともできます。
空き家になった実家を売ると、税金は安くなりますか?
一定の条件を満たすと、譲渡所得から最高3,000万円(相続人が3人以上なら2,000万円)を控除できます。条件は上の章のとおりです。相続してから売るまでに、店として使ったり人に貸したりすると対象外になります。
仏壇の処分に決まりはありますか?
仏壇の処分方法を定めた法律は見当たりません。民法897条は、仏壇やお墓などの祭祀財産は、慣習に従って祭祀を主宰する人が引き継ぐと定めています。仏壇や仏具には原則として相続税がかかりません。処分の前に、誰が引き継ぐかを家族で決め、必要なら菩提寺に閉眼供養を相談します。
まとめ
- 順番は「家族で決める→相続登記→遺品・仏壇→家の行き先→税金」。片付けから始めない
- 相続登記は3年以内(2024年4月より前の相続は2027年3月31日まで)。3,000万円控除は2027年12月31日までの売却が対象
- 店舗付きの家は、相続後に店として使うと3,000万円控除が使えない。借地は地主の承諾、共有は全員の同意が先
- 放置して勧告を受けると、固定資産税の住宅用地特例がなくなる
- 売れない土地は国庫帰属制度もあるが、建物があると申請できず、手数料と負担金がかかる
出典(2026年9月24日確認)
- 法務省「相続登記の申請義務化について」
- 国税庁 タックスアンサー No.3306「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」
- 国税庁 タックスアンサー No.4205「相続税の申告と納税」
- 国税庁 タックスアンサー No.4108「相続税がかからない財産」
- 国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法」関連情報
- 国土交通省 空き家対策特設サイト(管理不全空家と固定資産税の住宅用地特例)
- 法務省「相続土地国庫帰属制度の概要」
- 法務省「相続土地国庫帰属制度に関するQ&A」
- 国土交通省「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」
- e-Gov法令検索「民法」(251条・612条・897条・915条・921条)
- e-Gov法令検索「借地借家法」(19条)
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